相続の大変さ

　現在、相続人多数の案件を数件並行して進めています。最初の大変さは戸籍を集めて相続人を確定させることです。広域交付が始まりましたが、この手続きは直系に限定されるため傍系・・・相続人が兄弟姉妹の場合は、利用できません。近くの市町村であれば当日で取得できますが、遠方の場合で普通郵便で取り寄せる場合、１週間近くかかってしまいます。転籍されている場合は、都度取り寄せるしかありません。亡くなっている場合は、更に次の相続人を探すことになります。この作業は長ければ数ヶ月かかります。

　次の大変さは、相続人が確定したものの、面識がない場合です。相続人が多ければ多いほど面識がない可能性が高くなります。最初にお手紙でご連絡をしますが、最初のお手紙でご連絡がない場合も少なくありません。二度三度お手紙を出させて頂きますが、それでも相続人全員から連絡をいただけないと、目的たる相続登記には至りません。相続人全員の方からご協力頂けない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てるか、今でしたら相続人申告登記を申請するかのいずれかになるかと思います。遺産分割調停申し立てを選択した場合は最終的に相続登記に至る可能性が高いですが、相続人申告登記を選択した場合は申告した方が相続人である旨が登記されて相続登記の申請義務を果たしたと「みなす」登記となるだけであり、名義変更はされません。

　相続人申告登記を選択せざるを得ない場合は、ご協力して頂けない相続人の方にも何かしら法務局から通知が届く仕組みがあれば状況が変わる案件も少なくないと思うのですが・・・何とかなりませんでしょうか。