遺言書の撤回
2026/04/18
遺言書は「一度書いたら終わり」ではありません。むしろ、人の気持ちや財産状況は時とともに変わるのが当然であり、法律も**「遺言はいつでも、何度でも、自由に撤回できる」**と定めています。
今回は、意外と知られていない「遺言の撤回(書き直し)」のルールと注意点について解説します。
1. 遺言の撤回は「自由」である
遺言者は、生きている間であれば、以前に作成した遺言をいつでも撤回できます。 たとえ遺言書の中に「この遺言は絶対に撤回しない」と書いてあったとしても、その文言は無効です。「最新の意思」が常に最優先されるのが、遺言の鉄則です。
2. 撤回とみなされる「3つのパターン」
明確に「前の遺言を撤回する」と書く以外にも、法律上、自動的に撤回したとみなされるケースがあります。
① 新しい遺言書を作成する
これが最も一般的な方法です。 古い遺言書の内容と、新しい遺言書の内容が矛盾する場合、「矛盾する部分」については新しい遺言が有効となり、古い方は撤回されたものとみなされます。
例: 2024年の遺言:「自宅を長男に譲る」 2026年の遺言:「自宅を長女に譲る」 ⇒ この場合、2026年の内容が有効になります。
② 遺言書を物理的に破棄する
自筆証書遺言の場合、遺言者がその紙を破り捨てたり、シュレッダーにかけたり、焼却したりすれば、それは撤回したことになります。 ※ただし、公正証書遺言の場合は、手元の「控え」を破っても役場に「原本」が残っているため、これだけでは撤回になりません。
③ 遺言内容と矛盾する行為をする(生前処分)
「自宅をAさんに遺贈する」という遺言を書いていたのに、生前にその自宅をBさんに売却してしまった場合、その部分の遺言は撤回されたとみなされます。
3. 「公正証書」を「自筆」で書き直せる?
よくある誤解が、**「公正証書遺言を撤回するには、また公証役場に行かなければならない」**というものです。
結論から言うと、自筆証書遺言で公正証書遺言を上書き(撤回)することは可能です。 形式が何であれ、日付が新しいものが優先されます。
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ただしリスクもあります: 公正証書遺言を、形式不備の可能性がある自筆証書遺言で書き直してしまうと、最悪の場合、新しい遺言が無効になり、古い遺言だけが残ってしまう(あるいは何も残らない)という混乱を招く恐れがあります。
4. 撤回する際の注意点
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「全部」か「一部」かを明確に 新しい遺言を書く際は、冒頭に「○年○月○日付の遺言をすべて撤回する」と記載するか、あるいは変更したい部分だけを特定して書くなど、意思を明確にしましょう。
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古い遺言書は処分する 混乱を避けるため、撤回した古い遺言書(自筆の場合)は速やかに破棄するのが一番確実なトラブル防止策です。
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遺言能力の有無 認知症などで判断能力が低下した後に撤回(書き直し)を行うと、後から親族間で「あの撤回は無効だ」という争いに発展するリスクがあります。
まとめ
遺言書は、その時々のあなたの「今の想い」を形にするものです。 家族構成の変化、財産の増減、あるいは人間関係の変化に合わせて、柔軟に見直して良いのです。
「一度書いたから」と縛られず、定期的に内容を点検し、必要であれば「最新のラブレター」にアップデートしていく。それが、残される家族への本当の思いやりと言えるでしょう。
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